先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その88 手足口病が流行ってるの巻


 皆さん今日は、僕ドラえもん。

 アイスランドの火山の爆発で今年は冷夏になるんじゃないかと先生は心配してたけど、ようやく夏らしい陽気になってきたよね。

 この二ヶ月ほど、毎日のように子どもたちが手や足に発疹を出して先生の外来にやってきた。もちろん手足口病だって長年子どもの病気を診てきた先生はすぐにわかっちゃうんだけど、どうもいつもと少し違うって思っていたんだ。まず熱が出ることが多いし、膝やお尻に発疹が出てやってきた子どもが多かったし、水疱がいつもより大きいし、なにか全体的に重症感がある子どもが多かったらしいんだ。で、なんでだろうと先生は調べてみました。

 手足口病はおたふくかぜや水ぼうそうと同じで、ウイルスによる病気。でもおたふくや水ぼうそうと違うのは、一種類のウイルスだけが手足口病を起こすんじゃなくて、何種類か(5種類くらいあってそのうち2つが主)のウイルスが似たような症状を起こすらしい。まあいえば手足口病症候群といってもいい病気なんだね。国立感染症研究所によると、今年はほぼ毎年見つかるタイプのコクサッキーウイルスではなくて、エンテロウイルス71という長い名前を持つウイルスが原因だったんだって。

 手足口病の流行中に、急性脳炎などにより急死した子ども達が、マレーシアや台湾などでみつかっているんだけど、これらはみんなエンテロウイルス71によるものだったんだ。日本でも10年以上前に、手足口病の経過中に死亡したり、重い神経症状を合併した症例が経験されているんだけど、これもすべてこれが原因だった。このウイルスが問題児だっていわれていることがわかってもらえると思う。ここからが大切なんだけど、脳炎とまで行かなくても、このウイルスが髄膜炎をおこすのは有名で、手足口病にかかっている時に、頭痛や嘔吐が見られたら要注意だって先生はいつも患者さんに説明しているよ。

 わかっている感染経路は、病気を持った子どもの唾液などからうつる飛まつ感染と接触感染。だから手洗いうがいは大切なんだけど、病気に罹った子どものウンチを調べてわかったことだけど、手足の主な症状が無くなった後3〜4週間たってもうんちからウイルスが出てきているんだって。少しくらいの登校登園停止では流行は阻止できないんだね。ということは、病初期だけの登園停止は意味ないし必要もないってことになる。病気のはじめの、元気がない、頭痛・嘔吐、高熱、発熱が2日以上続くなどが見られた時は注意してね。

 治療としは、効く薬はないし、塗り薬も必要ないんだよ。口が痛くて飲めない食べられないことで脱水を起こすことがあるので、どんな水分でもいいから、何回も少しずつ与えてくださいって先生は外来で言ってるよ。それと妊婦さんが罹っても赤ちゃんに影響しないから心配しないでね。


ドラえもん



トップページ > 先生のおはなし > 連載コラム「ドラえもんのポケット」 > Part2・その88

トップページ > 先生のおはなし > 連載コラム「ドラえもんのポケット」 > Part2・その88